怖がりさんの為の
ミステリ作品紹介

謎解き大好き！けれど、あまり残酷な描写は苦手……。そのような方でも楽しめるミステリ作品をご紹介いたします。少しでもご参考になれば幸いです。

　喫茶店『エメラルド』の、美青年だけれどドSな高校生オーナー・悠貴さんと、平凡だけれどとっても真っ直ぐな大学生従業員・美久さんが、難解な事件を解決してゆくシリーズです。
　悠貴さんは一見すると厳しく、歯に衣着せぬところがあって、“こんな台詞を投げかけられたら傷つくだろうな”と思ってしまう面もあるのですが、本当は優しい方なのが少しずつわかってきて、読み進めれば進めるほど、魅力的に映ってまいります！
　物語も緻密に構成されていて、毎回意外な真実が明らかになり、感心させてくれるその手腕は、お見事というしかありません……！

　近江先生は、この作品以外にも『雨ときどき、編集者』というお話も書かれていて、私はそちらも大好きです（こちらの物語は、ミステリでないかもしれないジャンルなのですが、小説がお好きな方ならきっと楽しめると思います！）。

　珈琲店が舞台の人気作、ですね（*>_<*）。鋭い観察眼と推理力で、コーヒー豆を挽きながら事件を解決してしまうバリスタの美星さん。そんな彼女と微妙な関係にあるアオヤマさんが、お話を語る形をとった作品です。
　読者を間違った方向に誘導するのが大変お上手で、もう、全て“これは本当にこの意味で受け取ってしまって大丈夫なのかしら？”と、拝読していて不安になるほど（笑）。登場人物の描写も文学的でおすすめです！

　京都・東本願寺近くの、看板もない質素な佇まいの『鴨川食堂』。
　お客は場所すら書かれていない、料理雑誌に掲載された<鴨川食堂・鴨川探偵事務所――“食”捜します>という一行広告を頼りに、訪れるしかありません……そう、ここは、依頼人の数少ないヒントから思い出の味を探しだし、そのまま再現してくれる、不思議な不思議な探偵事務所も営んでいるのです。
　奥さん一筋な料理人・流さん、その娘でサポート役のこいしさんなど、京言葉で繰り広げられるテンポ良いやりとりは爽快です！

　ちょっとぽっちゃりな主人公・梅本杏子さん（通称アンちゃん）が可愛い日常系ミステリ作品。和菓子屋さん「みつ屋」で起こるほのぼのとした謎は必見です♪漫画版（白泉社）もあるので、小説が苦手な方でも作品の世界観を楽しめます。

　ひょんなきっかけから、高校の図書室で、司書さんとして働くことになった詩織さん。図書室で発生するちょっとした“日常の謎”を、詩織さん自身のちょっと特異な“能力”や、あるいはひととのつながりを駆使し、丁寧に明らかにしてゆくという、“ひとの死なないミステリ”好きにはたまらなく嬉しい一冊です。
　登場人物が、皆、立派になりきれない自分をもどかしく思っても、“いけない、直さなきゃ”とか、“私なんてダメだ”と諦めてしまわないで、“これが私。文句ある？”と、自らを肯定してあげている強さがあるなぁ、と思いました。心温まる読後感ですｖ

　人気のスープ屋さん「しずく」のシェフ・麻野さんの名推理で様々な事件が紐解かれてゆく、読後に爽やかな気持ちが残るミステリです。飲食店が舞台なので、バリエーション豊かなお料理（特にスープ）の描写が楽しめます。

　浅草の一角にある和菓子屋さん・栗丸堂。店主の、少々無愛想な栗田さんの周りで起こるちょっとした問題に、天然お嬢様といった雰囲気の葵さんがのほほんと核心に迫ってしまうお話です。和菓子の蘊蓄がたくさん散りばめられていて、読むとお得感が感じられます♪キャラクターが良い意味で善人すぎず、“人間ってこういうところがあるよなぁ”としみじみしてしまいました！

　主人公は、お寺の次男坊である大学生の修平さん。
　地元で通称「福まねき寺」と呼ばれる実家・福招寺で副住職をしていた兄が突如失踪し、代わりを務める事になってしまいます。
　美形で頭の切れる、近所にあるお寺の副住職・清隆さんに助けられながら、修平さんは檀家さんや同級生から持ちかけられる、不思議に満ち満ちた謎に取り組み、成長してゆきます。
　心がほんわか、温かくなる日常系のお仕事ミステリです。連作短編形式なのですが、第二話の『おばあちゃんのパズル』に登場するクロスワードパズル、私も全く歯が立ちませんでした（笑）。皆様もぜひぜひ、正解を読んでしまう前に挑戦してみる事をおすすめいたします！

　“真実を映し出してしまう”という、掟破りの「鏡」を持つ女子中学生探偵・襟音ママエさんが登場する、本格ミステリです。なんでも知っている「鏡」は、使い方次第で毒にも薬にもなることを教えてくれ、手に汗握る怒涛の展開を楽しめます。小人さんが活躍するなど、ファンタジー好きな方にもおすすめです。

　舞台は昭和の初め。生まれつき「嘘」を聞き分ける能力を持つ浦部鹿乃子さんと、飄々としていて茶目っ気のある凄腕の探偵・祝左右馬先生が難事件に立ち向かう、本格推理劇です。この作品は人が亡くなる事もありますが、あまり怖い印象は受けないかな？　という感じです。
　画力や構成力が圧倒的に高く、画面もすっきりしているので、大変読みやすい漫画です。とても素敵な作品だと思います♪